dog.01 私という始まりについて

第一章

ご主人様と最初に会ったのは、
私がまだ小さな箱に詰められていた時だ。
ペットショップというらしいが、
愛知の故郷から、いきなり狭苦しい箱に連れてこられ、
私は連日泣き寝した。

いや昼は、寝る事すら許されず、
私は人間様のご指名があれば箱から連れ出され、
奥方や殿方に抱かれに抱かれた。
「うわ!かわいいー!」
「このプードルちゃん、小さいねー!!」
耳元でキャーキャーワーワー そら、うるさい。

私はする事がないので、
尻尾を振ったり、ペロペロと舌を出したりすると
「ちょーかわいいー!!」
と、さらにやかましくなるのだ。
特に若い人間はどうにもボキャブラリーが貧相で、
かわいいと言う言葉ばかりを多用し、
それを伸ばしたり強めたり、
一つの言葉をよくもまあ、あそこまで使い分けられるものだと感心する。
かくいう私もワンという言葉しか言わないのだが、、、

この前は露骨なセクハラをうけた。
「オスですか?メスですか?」
「女の子ですよー」
と店員から聞くと私の股間を広げ
「あー確かに」
と、まじまじとお父さん中年に確認された。
犬とはいえ、これでも女の子である。
泣き寝は続く。

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