dog.03 確執

第一章

今日も沢山のご指名を頂き、素直に嬉しい。
柴姉さんやミミさんの視線が気になるが、
生きるために私は精一杯、尻尾を振りペロペロし、
自分を売り込む。
しかしながら今日のお客たちの行動には、ほとほと参った。

最初の客は依存系ギャル。箱越しに聞いていると、
「やっぱりトイ・プードルが人気なんですかー?」
「そうですね!」
「じゃあ、トイ・プードルにします。」
柴犬が人気だったら、柴犬にしたのだろうか?
「夜、家に居られないのだけど大丈夫ですか?」
何の仕事をしているのだろう、、、あげく果てには、
「私でも飼えますか?」
こんなご主人様の元には行きたくないので、
ケツを向けていたら、
「じゃあ、このプードルちゃんを見せてください」
と、ミミさんを指差すではないか。
ミミさんも久々のご指名に戸惑いを隠せず、ぷるぷるしていた。

「耳がかわいいー」
と言われ、ミミさんは泣きそうなほど喜んでいたが、
若い人間たちは意味もなく、かわいいーというので、
信憑性が薄い事にわたしは気づいていた。
だがミミさんは哀れなほど嬉しそうで、手をペロペロしている。
ペロペロはやりすぎると嫌がられますよと、言おうとした矢先、
「じゃあ、こっちのプードルちゃん見せてください」
と、私を指差すではないか。

交差する視線。
気まずい。
ミミさんの尻尾が下がった。

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