dog.05 忍びよる影

第一章

「あ、かわいいかもー」
かも?
まあ、さすがにみんなから色白奥さんと言われるだけあって、
肌が白く、つるっとしている。ペロペロしたら手がウマい。
スタッフから、
「最近よく来られますねー」
「そうなんですー。ワンちゃんを探しているのですが、
 全然、良いワンちゃんがいなくて、、、」
みんなから色白奥さんに殺気が放たれた気がした。
「でもこのワンちゃんは良い仔ですね。一番可愛いし!」
今度は私に向けて殺気が放たれた。
「写真撮っても良いですか?主人と考えてみます。」

結局、買わなかったのだが、
手応えは、かなりあったと思う。いい感じかもしれない。
「バカだねぇ。みんな同じパターンさ。」
と、お局と化した柴姉さんから嫉妬めいたお言葉をいただいたが、
自分の感覚を信じたい。
手応えはあった。おそらく大丈夫。

「、、、一日二日に万機あり」
突然、最下層の箱からうめくような枯れた声が聞こえてきた。
「スー爺さんが起きたか。」
ミミさん曰く、最年長・4ヶ月目のシーズー犬らしい。
「さすがに4ヶ月目はやばいよねー」
と、まるで他人事のようにいう3ヶ月目のミミさん。あんたもやばいよ。

シーズーのスー爺さんが言いたかった事は、
たった一日二日でも無数のチャンスが転がっている。ということだろう。
、、、油断するな
チャンスを見過ごすな
これで決まると決めつけて努力をおごるな

確かに周りが見えなくなっていたかもしれない。
そういえばさっきから、私と色白奥さんの一部始終を
ずっと見ている女が、いる。

次へ 

戻る 

 

MEMO